武術の言語化

しかし当時、最高の遣い手の一人であり、武士階級として知的レベルもそれなりに高かったであろう柳生但 馬守ですら、武術の言語化は純粋な日本語だけでは実現できず、舶来言語体系である禅の用語を必要としました。
だからこそ、「禅や儒教の言葉も借りず、古い軍記物の表現も使わず」、きわめて平易な、しかし不完全な当時の日本語を用い、しかも400年後に生 きるわれわれのような後代の武術・武道人でも理解し納得できる武術の理合の言語化を実現した、宮本武蔵という人物の天才は、柳生を越えているのです。
「顔面突きで、相手をビビらせて居着かせろ」とか、「フェイントかけて斬れ」とか、「まず一拍子で強く打ち、そのまま粘る感覚で切っ先下がりに打て ば、相手の太刀を打ち落とせる」などなど、『五輪書』の記述は、今読んでも超具体的かつ現実的です。体当たりのコツまで、丁寧に分かりやすく解説している くらいなのですから。
さらにすごいのは、言葉で説明すると誤解の多い点、言語化が適切でない部分について、「この技については、ちょっと言葉では説明できないので、実 地の稽古で体験してくださいネ!」とまで書いてあるわけです。
言葉にできることと、できないことを、きちんとわきまえている!
400年前に、ここまで読者の便宜を考えて執筆しているのですから、もうこれは超絶的な現代感覚です。
新・流れ武芸者のつぶ やき ある先輩武人への手紙/(武術・武道)

なるほどたしかに。




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